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一時のように日本が何もないときに、アメリカがいろいろやってくれた時代は、そんな関係でもよかったかもしれません。
今のように技術もある、お金もある立派な主権国家である日本が、いつもアメリカに言われて何かをやるというのは、多くの日本人にとっても、胸くそ悪いことだと思うのです。
そうなると、とにかく国内で誰かがアメリカに代わる悪役となってリードしなくてはなりません。
その悪役をやるのは、やはり政府しかないという感じがします。
日本固有の問題ということで、他国の政府にない役割かもしれませんが、悪役になることを覚悟で、いろいろなことを進めなければいけないと思うのです。
本来ならマスコミがそのへんの事情をくみ取って、一部の人たちに人気がないことでも、国のために必要であると思えば、積極的に評価して、政治家にリーダーシップを取りやすくすべきでしょうが、残念ながら、そのような役割は日本のマスコミにはまったく期待できないというのが実情です。
誰かがちょっとでも足を踏まれたら、その足を踏まれた人の話ばかりを大きく報道して、結局、政府も政治家も何もできなくなってしまうという風潮があります。
それでもあえて、悪役となる気持ち、日本を変える志を持つことを政府に期待したいと思います。
私が、円高が止まらなくなったとき輸入の数値目標まで設けたらどうかと言い出し、銀行の貸し渋り対策は一律で公的資金を導入すべきだと言い出した理由もここにあります。
日本では、誰かが悪役になって、もうここまで考えなければだめだという形にして議論の視野を広げないと、なかなか前にいかないのです。
勝手なことばかりお話しして、体系的でなくて申し訳ありませんが、官と民という全体像でとらえますと、官というのは枠組みをつくる人たちであります。
民はつくられた枠組みの中で利益を最大にしたり、マーケットシェアを争ったりしますが、枠組み自体は変えることができません。
枠組みは、政と官が変える権限を持ちます。
税制、規制、会計制度のいわゆる競争のルールづくりが、官の仕事なのです。
特に、日本企業は、戦後ずっと年功序列、終身一雇用できましたから、システム全体で方向転換するのは非常に難しくなっています。
アメリカでも、I社は年功序列、終身雇用でやってきて、結局、方向転換できなくなって、大変な事態に陥りました。
最後は、株主が経営陣を入れ替えて方向転換できましたが、日本の場合、株の持ち合いという恐るべき手法によって経営者は経営責任を問われないようになっているので、方向転換がいっそう難しくなっています。
やはり誰かが旗を振って、俺を悪者にしていいからやってくれというやり方が絶対に必要だという気がします。
官は一方的に独善的に決められるかといえば、そうではなくなってきました。
今世界がこれだけボーダーレスだと言われている中で、民も官を選べる時代に入ってきたからです。
これまでは、官がこうだとルールを決めたら、民はその中でやるしかありませんでしたが、現在はこの制度が嫌だったら別のところへ行ってやればよいという動きが、日本でも起き始めています。
海外、特にアメリカなど地方分権が進んでいるところでは、以前からこうした状況がありました。
ニューヨークの税制が嫌いだというと、隣のニュージャージーに移ってしまう。
デラウェア州では、他ではできないある種の金融業務が許可されているといえば、みんながデラウエァに行ってその金融業務をやる。
ラスベガスに行けばギャンブルもできるというように、いろいろな地方自治体で制度の競争が行なわれております。
そこに緊張感が生まれますから、官が規制を独善的、一方的に決めることができなくなっています。
その決定が現実にそぐわないものだと、民間はみんなそこから逃げ出してしまうからです。
国際間でも、すでにそういう状況が起き始めているのではないかと思います。
国際間の場合、日本人や日本企業が日本から出ていくということを意味します。
一時日本では、ずいぶん空洞化が話題になりました。
その一部は円高によるものだと思いますが、実は円高だけで出ているわけではありません。
日本国内の制度上のしがらみがあまりにも大変なため、これに嫌になった人々や企業が、たくさん国外へ出ていっているのです。
まだ日本から本社を移した企業は多くありませんが、これら日本企業が今どこに投資しているのかを見ると、この方向は歴然としています。
投資をあきらめ、皆海外で投資しているからです。
そういうことも頭に入れて、制度をつくる側にも緊張感が必要なのではないかという気がします。
地方分権という形で、地方に競争させるということも含めて、どういうふうに効率的な枠組みをつくるべきか、どうやって人々や企業の選択肢を増やすかということを真剣に考えなければならなくなっていると思います。
どうも日本列島では、地方自治体も含めて、すべて同じような規制になっています。
土地の利用についても、例えばある市では容積率制限が大幅に緩和されているとか、建ペイ率、日照権の問題は関係ないといった動きが全然なくて、全部一律になっています。
その結果、日本中ほとんど同じような町しかありません。
国民は企業にとっては、選択肢がないということです。
もっと自由度があってもいいのではないでしょうか。
今の日本の場合は、何もかもがごっちゃになっていて、住宅地に住んでいても隣に高い目障りなビルが建ってしまう可能性もあります。
その辺のところをもう少し考えて枠組みをつくる側にも、自由度と緊張感があっていいのではないでしょうか。
日本の社会がより自由な枠組みをつくることのできない理由の一つに、オピニオン・リーダーと言われている人たちが「日本人はそんなものだ」と決めつけている思い込みもあるような気がします。
マスコミの人たちも、自分たちで勝手に選択肢を少なくしている。
東京からちょっと離れた新幹線の駅を持っている町なら、駅の周りの容積率制限を大幅に緩和したらどうでしょう。
高層ビルをいくらでも建てさせ、新幹線で他の町とどんどん結んでいくという発想があってもいいでしょう。
一方で郊外では一戸建ての住宅しかだめだと決めれば、町に住みたい人は高層住宅に住んで、郊外に行くと今度は日照権の全然心配のない一戸建て住宅だけのところに住めるのです。
こういう選択があってもいいと思います。
こんな話になるのも、今の日本には、選択肢がないからです。
どこへ行っても所定の容積率ですから、結局、高価で間取りが不自然で、しかも地震が起きたときにどういう状態になるのかもよく分からないマンションか、それとも勤務地から遠く離れ、同じく狭い一戸建てにするかという選択肢しか、今の日本には準備されていないのです。
例えば、先ほどの日本が抱えている土地問題の話をある記者クラブで言ったことがあるのですが、そのときに、日本の超大手新聞の方が手を挙げました。
「日本人は高層住宅に住むつもりはない。
一戸建て住宅がいいのだから、そんなに土地の容積率を緩和して日照権を云々しても、そんなところに住む人はいない」ということを延々と言われたわけです。
私は、こう言いました。
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